「さて問題ですセブ。今年の2年生首席&次席は誰でしょう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 そんな呪い殺すような目で見るなよ・・・。




 44.




 クリスマスが終わり、イースター休暇も気づけば終わり。バレンタインなんて浮ついたイベントも終わり。やってきました試験期間。ちなみにバレンタインは、オレとシリウスとリーマスは、今年は大量の収穫をいただきました。ピーターもちらほらとね。ジェームズは意外と結構いたけれど全部断ってた。リリーのしかいらないんだってさ。リリーは困ってたけど、まあ、ちょっと嬉しそうだったのは内緒だ。え?あげてたよ?


「義理なんだからねっ!!私の本命はよっ!」
ちょっとチョットちょっとリリーってば落ち着こうぜ
「きっといつか僕を本命にして見せるさ!!」


 こんな感じで。ジェームズはもうちょっと取り乱したりしてたけど、さりげなくかっこよく脚色しておく。実際は、うん、相変わらずのジェームズだ。

 でもってオレはバレンタインのお返しに、大量のクッキーを配ったりした。大変だった。実に。なんとシリウスとリーマスとピーターのお返しの分までつくったんだぞ!?ものすごい量になってしまった。何考えてんだ全く。それでも嬉しいからさあ、貰えるのは・・・。お返ししないと、だし。でもさあ、ちょっと言っておきたいんだけど。みんなわかってるよな?オレ、女なんだけどな・・・。


「なんなんだ・・・なんなんだバレンタインって!!」
「え?いいじゃない楽しいよ」
「そりゃお前はいいだろうが!甘いモン好きなんだから!!」


 シリウスは甘いものが苦手だからだろうけど、バレンタインの一日が終わるころには青い顔をしていた。対照的だったのはリーマスだ。にこにこうきうきしながら次から次へとお菓子を平らげていた。なんで太らねえんだよお前。

 オレのひっそりとした疑問をスルーしながらとにかくそんな風に日々は過ぎて行って、あっという間にテスト期間。今回もオレはセブに魔法薬の講義をうけていたわけだけれど、うん・・・一向に上手くはならない。リーマスよりはマシだけどな!


「・・・・・・・・・・お前は僕にあの二人の名前を言わせたいのか」
「そーじゃねーよ。じゃなくてさ、」




「一緒に首席&次席目指そうぜ!」




「・・・・・・・は?僕はともかくお前は無理だろう
「そゆこと言うなよ傷つく!!」


 そのとおりなんだけどさあ!!分かってるわ!けど、ちょっとここで言いたいことがある。


「あのな。ジェームズもシリウスも天才肌だろ?あいつら、頭いいけど勉強あんまりしねえんだよ。去年そんなんで首席&次席とっちゃったせいか、今年あいつらめっちゃ油断してんだ。こないだも2人でイタズラしに行ってたし。だから、もしかしたら、オレらにチャンスあるかもしれないぜ?」


 そうなのだ。あいつらものすごく余裕ぶっこいているのだ。こっちが非常にイライラするくらいに。それはもう。こないだなんて余裕なんて一切ないピーターがストレスで熱を出して、リーマスが怒ったくらいだ。今この時期にあのテンションは正直腹がたつんだよな・・・。セブは頷きながらも考えあぐねるような顔でオレを見る。


「・・・そうかもしれないが・・・・・・お前・・・」
「決めつけんな!オレ最近超がんばってんだからな!」


 そう。頑張っているのだ。魔法薬の授業は必ずセブとやり、魔法史は次々と周りが死んでいく(寝る的な意味で)中ひとりで必死でノートを取り、薬草学はひとりで復習し。信じられない、オレ超えらい。クィディッチの練習もあるのに。というのも、先日試験の話になった時の「どうせオレらがまたトップだろ」というシリウスの言葉にカチンときたからだ。ふざけんなよ?


「その証拠に去年よりはましだろ!それにオレ、実技系の変身術とか呪文学とかは得意だし。むしろそのへんはセブに教えられるぜ!」
「・・・確かに、それは認める」


 しぶしぶ、といった体でセブは認めた。ふふん。ちょっと得意げになりながらセブを見る。どうだ、ちょっと可能性があるような気がしてきただろ!


「実技系はオレがセブに教えて、理論系はセブがオレに教える。どうだ、この見事に苦手科目を補う計画!」
「言っておくが僕はそこまで実技が苦手なわけじゃないからな」
「いいじゃん別にー!」


 でもそう言うセブの顔はまんざらでもないらしい。やっぱりあの2人を出し抜くのは、ね。なんとなく楽しいよな。普段好き放題されてるからな。


「・・・本当に出来るのか?」
「やってやれないことはないって!」


 だいたい、オレはともかくとしてもセブはもともと成績がいい。あの2人に届かないにしてもかなり上位だ。むしろ頑張らなくちゃならないのはオレだ。かなりオレのほうだ。足引っ張らないようにしないと・・・。


「でもな、シリウスとジェームズにだって苦手科目はあるんだぜ」


 仲がいいからこそ知っている弱点だ。シリウスは異常なくらい呪文学が得意だけど魔法史はどうでもいいと思ってるらしく比較的悪い。覚える気ないらしい。それであの点数だから腹立つんだけど。でジェームズはオレと一緒で薬草学が比較的、苦手。


「だからあいつらの苦手科目でがっちり点数とって、得意科目で落とさなかったら」


 もしかしたらいけるんじゃね?


「簡単に言うが・・・難しいぞ、かなり。」
「わかってるよ」
「・・・・・・・そうか」


 唐突にセブが笑った。おお、なんだ。


「じゃあ、頑張るか?」
「――――――おう!」


 見てろよジェームズ、シリウス。負けねえからな!





















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091220