「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・えーっと・・・」
「ちょっとジェームズ、どういうことなの」
「あありりー・・・うん、いやちょっと、昨日ね・・・」


 が本気で固まって、ぎこちない笑顔のまま硬直してるのを横目で見ながら、僕は愛しいリリーが隣にいるにも関わらず引きつった笑顔しか浮かべられなかった。もうほんと、勘弁してくれってくらい単純で腹が立つ!





 100.





「詳しく説明して。なんなのアレ」


 リリーの指すアレ、とは目の前で堂々とイチャこくシリウスとレイブンクローの6年生の女の先輩だ。ミラベル・マレスとか言ったっけ?鮮やかな長いブロンドの髪、あと特筆したいのが巨乳。もうすばらしい巨乳。もう巨乳さんって呼べばいいんじゃないかな、この僕ですらムッチリしたあの胸を揉んでみたいと思うくらい・・・おっと、リリーが軽蔑した目で僕を見てる。ヤバい。

 昨日、ちょうどがハッフルパフ寮に行ってたころ。シリウスも呼び出されたのだ。まああいつが女の子に呼び出しされるなんて日常茶飯事だしいつものことだし、普通に送り出したんだけどまさかね。オーケーして帰ってくるなんてね!


「オーケーしたの!?」
「そうだよ、ついでに僕らもくっついちゃったりイタタタタタタタ!!!
「どういうつもりなのあいつ!ほんともうっ」


 シリウスを狙ってる女子って多いから、さっきからコソコソと羨望と嫉妬ののまなざしが物凄い降り注いでくる。今まで誰かにオーケーしたことはなかったはずだ。だからこそシリウスはカッコいいけどみんなのもの、みたいなスタンスがあったらしい(リリー談)。そんなの正直僕はどうでもいいけど、問題は。


?」
「・・・・・・」


 さっきから半ば放心状態で固まってるだ。しかも巨乳が、オット失礼ミス・マリスがこれみよがしに嫌な視線を投げてくるし。シリウスはこっちをあえて見ようとしないし。あの野郎本当どうしてくれようか!


「本当どうしてくれようか、ねぇプロングズ」
「・・・・・・・・・ムーニー・・・頼むから早まらないでくれないかな?」
「やだなぁ君ったら!いくら僕でもあのバカのスープにワライダケを仕込んだりベッドにイボイボ虫を撒こうだなんて思ってないよ!!
本当に早まらないでくれ、ムーニー


 真っ黒なオーラを放ちながらも笑顔のリーマスに、僕は心底冷や汗をかきながら止めた。ていうかシリウスも本当にリーマスがやらかす前に止めないとヤられかねないよ!!


「あら、予鈴がなっちゃったわ。残念」
「授業だろ、もう行けよ」
「連れないのねシリウス。そういうところも好きよ」


 そういってマレスはシリウスの額にキスを落とす。放心状態だったの肩がびくりと跳ねた。見かねたリーマスがに近寄る。


。大丈夫?」
「へっ?あ、ええ、うん、えっと、なにが?」


 そうこうしているうちにマレスは、美しいブロンドのロングヘアーを翻して、颯爽と去って行った。どこか勝ち誇ったような笑みを浮かべながら。うっわ、悪いけど、僕あの女あんまり好きじゃないな。そう思っているのは僕だけじゃあないみたいで、リリーも物凄い嫌悪感をあらわにした顔をしていた。やっぱり僕たち気が合うね!・・・なんて、言ってる場合じゃないか。


「待たせたな。行こうぜ、授業」
「・・・・・・」


 返事も待たずにさっさと歩き出したシリウスの背。リーマスは大きく息をつくと、立ち尽くすの手を引いて彼の後を追った。ピーターも慌ててそれについていく。言いたいことはたくさんあったけれど、なんにしろ授業は行かなきゃいけなくて。どさくさに紛れてリリーの手を握り、僕たちは呪文学の授業へと急いだ。

 不機嫌最高潮の相棒の背中を見ながら、僕も小さくため息をつく。




 まったく、なんて素直じゃないうえに不器用なんだろうか。

 それはお互い様かもしれないけれど。














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