久々に2人とも仕事の休みが一緒になって、さあてどこに行こうか!とうきうきしながら前日彼に会いに行ったら。明らかに睡眠不足、超疲労、やつれましたねあの大丈夫ですか、みたいなクラピカがそこにいたから。その瞬間、はい。決定。お家デート!うん、正確にはあたしが押し掛けるだけなんだけどね!でもそれもありだと思うの。まあ、一応、仮にも付き合ってるわけですから、それくらいは普通だと思うわけで。彼氏の体をいたわってあげるなんて、あたしってば超優しい!彼女の鏡!! 「それはいいの。それはいいんだけど、ね」 嬉しそうに出迎えてくれて、おおよかったあたしの選択は間違ってなかった、なんてちょっと浮かれつつ、職権乱用で持ってきた疲労回復にバツグンの効き目らしい薬を手渡してあげたのがよくなかったのか。金色の綺麗な髪をそのままに流して、ソファに座ったまま本を抱えたまま眠ってしまっているクラピカを見ながらあたしは呟いた。か、彼女が来てるのに寝やがったコイツ。・・・疲れてるなー、もう。 「あたしがお茶入れてくるから。クラピカそこにいていいよー」 「・・・そうか。すまない、ありがとう、」 「おーよ」 そんな会話を交わして、あたしがキッチンにひきこもることたった数分。5分も経ってない。で、その間に寝たのか。こいつ。早い。戻ってきたら前後不覚に熟睡している彼の姿がそこにあって、手持無沙汰にあたしは手に持ったティーカップをテーブルの上に置いた。かちゃんと華奢な音がする。起こしちゃったかな、と彼のほうをちらりと見るけれどクラピカはぴくりともしない。完全に安心しきってるってことだろうけど、これって喜ぶべきなんだろうか。 かといってこんなに気持ちよさそうに寝ているのを起こす気にもなれず、仕方なくあたしはクラピカの手元に置かれたままの文庫本をそうっと拾って隣に腰かけた。これでも読んでようかな。けど、そう思った瞬間に、 視界がひっくり返った。 「・・・クラ、ピカ・・・なにそれ、起きてたの?」 「ああ」 クラピカが座っていた場所にあたしの背中があって、おろしていた髪が広がる。照明の影になった彼の顔が近い。腕を引っ張られてそのまま引きずり倒された、ようするに押し倒されました、ってことだ。あたしの真上で悪戯っぽく笑う整った顔が憎い。しまったやられた。 「あのクラピカさん。どいてくれませんか」 「嫌だ」 「嫌だじゃないんですけどねえちょっと」 「男の家に簡単に遊びに来るようなが悪い、だろう?」 「別に彼氏の家にくらい遊びに来たっていいだろがよ」 「私だって性別は一応男だとわかっているのか?」 そりゃ付き合ってるひとの性別くらいはわかってるわ!そう反論しようとして、なんとなく彼の言いたいことが分かるような気がしてあたしは沈黙する。うん、わかってる。彼氏の家に二人きり、ソファで押し倒される彼女。・・・・・・え、マジで? 「」 真剣な声で、眼差しで。名を呼ばれる。 「・・・」 ぶつかる視線が熱い。あれか。惚れた弱みってやつですか。なにも言えずにあたしは彼を見つめる。 「・・・・・・」 沈黙が漂う。そして、次の瞬間。あたしの目の前(いや真上)にある端正な顔が、突然おかしそうに吹き出した。笑いだすクラピカと対照的にあたしは憮然と彼を見返す。 「冗談だ」 「タチが悪い」 ようやく体をあたしの上からどかして、彼はソファに座りなおした。だけど押し倒されたそのままの格好で動かないあたしをちらりと見て、クラピカは唇に笑みを乗せる。 「どうした?」 「腰が抜けたんだようるさいバカ!!」 軽く笑うクラピカに引っ張ってもらってソファに座りなおして、あたしはすっかり冷めた紅茶を口に運んだ。そして、「顔、赤いぞ」という言葉で思わず紅茶にむせかえることになった。やられっぱなしで悔しかったので今度は逆襲したいと思います。覚悟しろよこのやろー。あたしはそう固く誓ったのだった。 確信犯 (特別なかおが見たいから) THANKS A LOT!10000HIT!! 企画リクエストです。雫さまのみお持ち帰りOKです。ありがとうございましたv リクは甘甘。ということでおうちでいちゃいちゃしてもらいました笑 我が長編主はどうも殺伐としたイメージしかなくて(え) 甘甘・・・甘い・・・押し倒されればいいんじゃね← という安直な考えによりこんな短篇になっちゃいました。長編主にしてみればかなり珍しい反応です。主導権を握られると途端に弱くなる笑 いつもはクラピカを押し倒さん勢いなのにね!(やめろ) それではリクエストありがとうございました! これからもよろしくお願いしますv 100114 |