いわゆる世間一体ではカレシカノジョという関係であるとオレは思っているのだけれども、もしかしたらそんな意識こいつにはないのかもしれない。ケタケタと楽しそうに笑う少女を見ながらオレは思った。ていうかうるさいんですけど。


「ふえへへへへへー!あははははー!」
「ほんとにうるさいんですけどこの人」
「にゃははははははー!!」



 大丈夫かコイツ。壊れかけてる。いや壊れてる。オレはのその細い肩をうしろから抱きしめてみた。腕の中にすっぽりと収まるサイズ。小さいよなあ、なんて思いつつも笑い続けるにさすがにあきれてきた。うるせえ。マジうるせえ。


「ねえ知ってるシリウスー!」
「なにが」
「あのねあのねー!」
「あ?」
「きいて驚け見て驚け!」
「そのまんまじゃねえかよ」
「そんでもってあたしに土下座しろ!」
「なんでだよ」
「三回まわってワンと泣け!!」
「意味わかんねえよ!!」
「え、なんでー?だってシリウス犬じゃんー!」
「それとこれとは話が違う!」
「いぬいぬー!わんこシリウスー!わんこー!」
「はいはい」
「じゃああたしは猫?にゃー!」
「・・・確かに猫っぽいけど」
「にゃー!にゃにゃーにゃーにゃーにゃー!」
「すみませんさん言語を喋ってください」
「えーいやだにゃー」
「お前は何がしたいんだ」


 普通恋人同士というものは、こう、二人きりになったらそれなりの雰囲気と言うかなんというか。そういう空気になるものだと思っているのだけれど、どうもコイツにはそんな自覚は一切ないらしくて常にこんなペースだ。更に悪いことには、はどうやら今日は酔っぱらっているらしかった。そういやリリーも赤い顔をしていたっけな。いつものテンションが余計に意味不明のテンションで、正直やりにくいことこの上ない。


「にゃーにゃー、シリウスぅ」
「なんだよ」
「すきー!えへへー」
「・・・、はいはい」


 全くもう、どーなんだこいつ。でもオレの腕の中で本当に幸せそうに笑うから、こっちまで幸せな気持ちになってきてたまらなくなってオレまで一緒になって笑った。

















不意打ちに射抜かれる

(ところで何を言おうとしたんだよ)
(なにがー?)
(ねえ知ってるー?とか言ってただろ!)
(なんだっけー!あはははは)
(・・・あっそ・・・。・・・だめだコイツ)








090102