久しぶりの休日はこうして一人でウィンドウショッピングを楽しみたくなる時がある。人も賑わう都心部は今日も身を寄せ合うカップルや、楽しそうに笑顔を浮かべる家族連れで溢れている。もちろん私は一人。それは言うまでもなく一緒にいる人がいないんじゃなくて、意図的に一人でいるからなのだけど。

微風を受けるたびにキラキラと光を受けて輝く店先の飾りが、無意識に私の目を惹きつける。そこでは『若者に今、大人気!』と記された立て札と共に、ミニサイズのホールケーキが販売されていた。とびきり甘そうではなく、ビターでもなさそうなチョコレートケーキに可愛らしい雪の結晶をデコレーションされているそれは、いかにも若い女の子が好みそうなものだ。

私も好奇心で「買ってみようかな」と列に並びかけたが、少し頭を冷やして購入するのをやめた。考えてみれば小さいといっても直径10cmはあるホールケーキを一人で食べるのは無理があるし、何より悲しすぎる。とはいえ、諦めることを決定付けた一番の理由は、それを購入しようと列に並んでいるのがカップルか、明らかに彼女と二人で食べるのだろう若い男性だったからだ。その中に若い女が一人で入り込むなんて、それ以上に悲しいことはない。



「・・・でも、やっぱりケーキ食べたいな」



そして思い出した。今日は私の誕生日だということに。子供の頃は年に一度しか訪れない誕生日が楽しみで仕方なかったけれど、成長するたびにその期待は徐々に薄らいでいく。全く、年を重ねるというのは怖いものだ。だからこんなにケーキに敏感になっていたのか、と自分自身に笑いながらウィンドウショッピングを続けていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。というより、『常日頃から聞いている声』という方が正しいかもしれない。




「ク、クラピカっ!?」



振り返るとそこにはクラピカが立っている。こんなとこにはいるはずのない、クラピカが立っている。思わず私は動揺を隠しきれずに一度前に向き直り、先程と同じように振り返るという動作を繰り返してしまった。しかしもちろんのこと、クラピカは私の後ろに立っている。



「私がここにいることが信じられない、といった様子だな」
「当たり前だよ・・・でも、どうして私がここにいるって分かったの?」



メールも電話も、今日は誰ともしていない。もしかしたら『お誕生日おめでとう』のメールが着ているかもしれないけれど、今日に限って携帯は開いていない。なので私がこんなところでウィンドウショッピングを楽しんでいることは誰も知らないはず。ゴンもキルアも、レオリオも知らなければ、同じくクラピカも知るわけがないのだ。なのにクラピカはどうして・・・。



「・・・あ、もしかして、導く薬指の鎖ダウジングチェーン?」




あれなら私が何処にいようと、地図さえあればオーラでだいたいの居場所を掴むことが出来る。すなわち、私を見つけ出すのも可能だということ。軽々とその答えに気付かれてしまったクラピカは案の定、少しバツの悪そうな顔をしていた。



「私を見つけるのに導く薬指の鎖ダウジングチェーン使ったらいけないじゃん。前に私が『嘘発見機』とか言って遊ぼうと思ったら、『これは遊びで使うものじゃない』って言ったくせに」
「それとこれとは話が別だよ、
「ちぇっ、都合のいいやつ」



なんて強がってはみるけれど、本当は嬉しくて、自分の頬がだんだんと緩んでいくのが分かる。それは私だけじゃなくて、目の前にいるクラピカも同じらしい。いつになく穏やかな笑みを浮かべていて、気付けば私たちの距離は1mほどに縮んでいた。と思えば次の瞬間、私の体はすっぽりとクラピカの腕の中へと納まっている。



「それに彼女の誕生日を仕事で終わらせるなんて、恋人失格だろう?」



そう耳元で囁いたクラピカは、近すぎて気付かなかったが微笑んでいた。そしてその瞳は蒼天を映したように蒼く透き通っていて、何より優しい。この時、私はきっとクラピカのこんな笑顔が見たくて、彼の隣にいるのだと思った。



「誕生日おめでとう、



クラピカの笑顔は優しい。優しすぎて、いつだって甘えてしまいそうになる。だけど今日くらい、素直に甘えたっていいよね?だって今日は年に一度しか訪れない私の誕生日なんだから。



「ありがとう・・・最高の誕生日プレゼントだよ」



私はクラピカの手に握られてある、チョコレートケーキの入っている紙袋を見て小さく笑った。






恋をした、現在進行形

これから先、何度誕生日が来ても、そのたびに私はあなたに恋をするでしょう。














 どうしようちょっとまって私今死ねる。(止)
 ありがとうございます、ほんとにありがとうございます・・・!!
 誕生日プレゼント、です!わー!!お祝いされてしまった!なんということ!!
 当日じゃなくて・・・とおっしゃられたのですけど、いや、そんな、もう、貰えただけでもはや昇天ですので・・・!!全然・・・!え、あの、私の日本語なりたってますか←
 こんなお祝いしてもらったら、もういいです。この世に未練なしです。(真顔)
 うわーんありがとうございました・・・!こちらこそよろしくお願いいたしますv
 ありがとうございましたー!!





 091226